【旅の1枚シリーズ】インド ジャイプル アンベール城 ~隣町はあちらです。~
こんにちは。1枚の写真から過去の旅を振り返るシリーズです。3回目。
過去2回分もよければお読みください。
今回は約8年ほど前の8月に訪れたインドでの話。
始まり
人はいつだって初めての経験には戸惑い混乱するものだ。
初めていく国であれば、食事・宗教といった文化の違いにショックを受けることだろう。
それがインドであればなおさら。
しかし、この時の私は違った。
空港に着く。
あぁ、私は帰ってきたのだ。
見慣れた空港のロビー、ビザの取得も滞りない。完璧だ。
出口に近づく。大衆が発する強烈な匂いが鼻を刺す。
凡庸な者であればここで帰国の手続きを始める者もいるだろう。
しかし、私は違う。
だって2度目だから。
今夜泊まるホテルもとっていない。とる必要がないのだ。
だって2度目だもん。
知っているのだ。取らなくてもいくらでも安宿があることを。
出口正面。
WELCOME to INDIA ネオンが視界に入る。
ただいま。第二の祖国。
どれ、いっちょからかってやるか
私はあえて空港内のホテルカウンターに声をかけた。
「この辺りで最も安いホテルを紹介しておくれ」
くたびれたインド人が答える。
< `~´ ><いいホテルあるよー お値段2000ルピー
2000ルピー・・・3000円か。
心の中で笑いが止まらなかった。
こいつは今目の前にいる日本人がインド初見の若造と思ってやがる。
汝滑稽なり
私はあえて悩んだふりをした。
すると、目の前のインド人は契約書にサインするように催促した。
私は目が覚めるような大声で叫んだ。
STOP IT !!
驚いてのけぞるそいつに向けて間髪なく言い放つ。
( `ー´)V I have been to India twice!
そいつの目の前で大きく 2 を表すVサインを決めてやった。
カラスに脳みそをついばまれた骸のようにピクリとも動かなくなった。
私は笑みをたたえたまま踵を返し、出口に向かった。
じんわりとしめった空気が体を包む。
しかし私は細胞レベルで瞬時に適応し、不快度指数は0。むしろ通常モード。
日本人を見つけ群がってくる客引きや乞食たちなどは視界にすらはいらない。
君たちには初めて来たときには大いに困らされたものだ。懐かしい。
でもなぁ
俺はなぁ
2度目なんだよ
私は自らが見定めたタクシーのもとへと突き進む。
そして、値段交渉も淀みなく、乗車した。
Go to new delhi station.
please などつけない。命令文だ。
タクシーにて
見慣れた景色が流れていく。
変わらねぇなぁ。俺の知っているインドだ。
運転手は陽気なインド音楽を口ずさんでいる。のんきな奴め。
そいつが話しかけてきた。
<`~´><「お兄ちゃんたち。今日はどこのホテルに泊まるの⁇」
はいはい、出ました。
どうせ空港から市街地までの間にホテルやらツアーやらを売り込んでくるんだろ。
もうその手は食わないぜ。
I have no reservation. but no problem, I'll do myself.
もうお前らインド人が次に何を言って来るかなんてこっちは予習済みだぜ。
どうせ、フレンドのホテルをリコメンドしてくんだろ。
かかって来いよ。
<`~´><あーそういうことじゃなくて
今日は独立記念日だから予約してない人は市街地に入れないよー
・・・・・
えっ( ゚Д゚)?
<`~´><今日はインド中から人が集まるから部屋は一つも空いてないよー
はい!ダウト!さっき空港のオフィスでホテル紹介されたもんねー!
私は心の平静を取り戻す。まだ戦える。まだ舞える。
しかし、その後いくつかの会話をする中で一つの違和感が。
こいつ、一向にホテルを勧めてこない・・・。
インド人は商売上手だ。私のように現地でホテルを取る客を捕まえては、タクシーの中でホテルやツアーの商談を持ち掛け仲介料を取ろうとする。
常套手段だ。
しかし、「今日のニューデリーは危険だから降ろすわけにいかない」とか「政府から言われている」とかにわかには信じがたいことを言ってくる。それはもういい。
なぜホテルを勧めてこない??
商売が下手なのか?奥手か?
それとも本当にホテルはないのか?
もうこっちから聞いてみた。
「ふ、ふーん。で、例えば君の友人のホテルとかあるんだろ?」
さあ、こっちから歩み寄ってやったぜ。
<`~´><兄ちゃんたち、英語わからないの?俺はホテルはもうどこも空いてないって言ったんだぜぇ。 もちろんフレンドのホテルもね。
な、なにが狙いなんだこいつは。まるで真意が読めない。
<`~´><あっでも、空いてるホテルがあるにはあるよー
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ちょーだい!それちょーだい!!
<`~´><空港の方に戻ることになるけど、外資系のホテルならインド人泊まらないから空いてると思うよ。でも本当に高いからおすすめはしないよ。
なんじゃそりゃ!思ってた展開と違いすぎる。
まじなのか?マジで今日は来ちゃいけない日だったのか?
ちょうどタクシーは高速を降り市街地の一角が見えてきた。
狭い通りの入り口が見えた。が、ふさがれている。
CLOSED
黄色い立て看板を私は認識した。本当に入れないのである。
いや、しかし間違いなく空港でホテルは紹介されたじゃないか。自信を持て。あきらめるな!
「一部屋も空いてないなんて信じられない。もうここで降りて自分で探す!!」
そう伝えると、運転手は路上に車を停め、説得に乗り出したのだ。
<`~´><本当に危険だからやめたほうがいいよ。安心して、だますとかじゃないからー
だましてくれて構わないんだが!!早くホテルを紹介しろ‐‐‐‐‐!!
とりあえず、一旦落ち着くことにして、今ある選択肢を整理した。
外資系ホテルに泊まる・・・だけ??
あっこいつマリオットホテルの回し者なのか?
「じゃあ、外資系のホテルに泊まれってこと?」
<`~´><うーん、でもものすごく高いからやめたほうがいいと思うんだー。お兄ちゃん日本人だからお金持ってるんだろうけど、それでも高いよー。
「ちなみにいくらよ?」
<`~´><8万ルピー
jjじじゅ13万円だとーーーーーーー!!!!!
終わった。終わり申した。
クレジットカード・・・きる?
その刹那、天啓が舞い込んだ。
まだ、選択肢はあったのだ。
空港に戻ろう。戻ってもう一度あいつからホテルを紹介してもらえばいいんだ。
時間も、タクシー代も費やすことになる。でも、13万よりましだ。
勝った。
「もういい。空港に戻ってくれ。用がある。」
<`~´><空港は一度出ると再び入ることができないんだよー
ぬぁぁぁぁっぁぁにぃぃいぃーーーーーーーーーーーー!!!そんな話聞いたことねぇよ!!
もう私はキレた。完全にきれちまったよ。
そして、こいつは嘘つきだ。もう信じない。
財布から紙幣を取り出し運転手に投げつけてタクシーを降りた。
もう自分の目で確かめる。
市街地へ
閉鎖されたゲートをくぐり、デリー市街地に入り込んだ。
もう、時間にして深夜の2時。さっきまでの狂乱の形跡が見られるが閑散としている。
遠くで発煙筒の音と叫び声が聞こえてきた。
後ろからタクシー運転手が追いかけてきた。
<`~´><本当に危険だから戻ってよー。興奮した人に殺されちゃうよー
お前の言うことはごもっともだ。だが断る。(言いたいだけ)
私はホテルの看板の付いた宿のドアを開けようとした。当然閉まっている。
ドアを執拗にノックした。もう最悪部屋なんか空いてなくていい。ロビーで横にならせてもらえば十分だ。
後ろで見ていた運転手が、ヒンドゥー語で中の人に声をかけ始めた。
こいつ普通にいい奴じゃねぇかよ。ふざけんな。
でっぷりと腹の出たインド人が起き上がりドアを開けた。
(●o●)<うるせぇよ。なんか用か?部屋なら満室だぜ。
やはりか。しかし、もう構わん。ロビーで横にさせてもらおう。金なら払う。
「それならロビーで寝させてほしい。部屋代と同じお金を払う。プリーズ!」
(●o●)<無理だな。見てみろよ。
主人は中へと招き入れた。
しかし、中に入ろうと思って踏み出した一歩目がロビーを踏むことはなかった。
ロビー中びっっっっしりにインド人が寝てやがる!!
足の踏み場もないという言葉の模範解答が目の前にあった。つま先すら着けるスキがない。
もう、心が折れ、体の力が抜けていくのがわかった。
もうどうすりゃいいのさ。
振り返ると運転手がしたり顔でこっちを見ている。
もう泣きそうだ。帰りたい。
「もうどうしたらいいかわからん。助けてくれ。」
もうすがれるのは目の前の運転手しかいない。選択肢はない。
運転手は少し考えこみ、誰かに電話をし始めた。
電話を終えるとある案を提案してきた。
<`~´><うちのボスのオフィスに行こう。アイディアがある。
もう好きにして。いわれるがままに従う。
そこから5分ほどでオフィスに着く。
びっしりとスーツを着込んだ男がいた。
( ˘•ω•˘ )<こんな日にホテルもとらずに来るなんて向こう見ずな奴だな。まあいい。選択肢は2つだ。外資系のホテルに泊まるか、隣町に出るかだ。
隣町に出る???
簡単じゃねぇか!!
思わず笑ってしまった。久しぶりに笑った気がする。
「オーケー!隣町に出ることにするよ。タクシー代はいくらだい?」
すると、意外な反応が。
( ˘•ω•˘ )<うーん。それだと運転手を手配するのがちと難しいな。
えっ?どういうこと?
理解が追い付かん。
外でタバコ吸ってるあいつ(運転手)でいいじゃん。
もう寝不足もあって、頭がぼんやりしてきた。
椅子から立ち上がり、運転手に自分で交渉した。
「隣町まで行ってくれよ!!」
すぐに返事がきた。
<`~´><無理だよ!明日は用事があるんよ!休ませてくれ!
???
この世界はどうなってしまったの??
お互い沈黙が続く。
<`~´><わかった。俺の知り合いで明日暇な奴を探すからお前は椅子に座って待ってろ。
もう、言い返す気力も体力もない。
椅子に座り、時間を過ごす。
もうこのまま朝になれよ。
5分ほどで運転手が中に張ってきた。
<`~´><友人がきてくれるってよ。ラッキーだったな。仲介料とか含めて6000ルピーな。
6000ルピー・・・えーーっと日本円ではたしか・・・
もう計算する力も残ってない。黙って支払うことにした。
もうどうでもいいよ。
しばらくして、明らかに寝起きそうな青年がやってきた。
グレーのセダンに乗り込み、出発した。
隣町へ
もう水平線の向こうが白ばんでいる。夜明けだ。
とりあえず問題は解決した。早くベットで寝たい。
すぐにまどろみ始めた。無理もない。
いったん仮眠をとろう。おやすm
エンヤーーイヤーーーアイヤイヤーーー♪
!!?
なんと爆音でインド音楽を流し始めやがったのだ。
(; ・`д・´)<こんな夜中に仕事させてるユーが悪いよ。こっちも事故で死にたくないから音楽はかけさせろ。
おまけに窓を後ろも前も空けやがった。ものすごい風が顔に当たる。
気づけば、道は片側4車線くらいのでかい道路に出ていた。他に車はない。
周りはひたすら田園というか草、が広がっている。
しかし、極限の疲労とはすごいものでそれでも寝落ちした。
目覚めると汗びっしょりであった。
日差しがまぶしい、真夏のインドの暑さに体がおかしくなっている。
時計を見た。午前9時・・・9時!?
記憶のある限りでもう4時間は走ってるぞ?
どうなってやがる・・・。この国は。
そういえば隣町ってどこなんだ。
聞いてみた。
(; ・`д・´)<ジャイプルだよ。ピンクタウンで有名なね。
ジャイプル、聞いたことあるな。
私は地球の歩き方を開いた。
遠っっっっ!!笑
やっとオチまでたどり着きました。笑
で、写真はジャイプルにあるアンベール城の像使いが休憩している広場です。
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もはや、写真などなんでもよかったのだ。
いやー、本当にインドはこっちの予想を上回ってきます。そこが好き。
気づけば5回も行ってます。2年に1度ペース。
しかし、色々思い出しながらふと思った。
タクシーで400㌔走って1万円くらい。
結局ただのいい奴らじゃねぇかよ!笑
長文失礼しました。
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